三重県伊勢市出身。東京藝術大学器楽科卒業、同大学院修了。1974年クロイツァー賞受賞。1975年オーストリア政府給費留学生としてウィーンに留学、1979年ウィーン音楽大学卒業。1980年帰国後はリサイタルを中心に演奏活動を行う。1985年バッハ生誕300年記念リサイタルを始め、古典調律によるモーツァルトの夕べやベートーヴェン・リサイタルを開催、ウィーン古典派の伝統を踏まえた演奏により高い評価を得ている。
シューベルトやシューマンのロマン派の魅力を伝えるプログラムや、ショパンの作品に隠された動機の統一や三拍子の展開にも視点を広げ、30回を数える演奏会で幅広いレパートリーを獲得している。最近はベートーヴェンの作品に焦点を絞り、変奏曲やフーガを含む総合的な音楽形式として完成されたソナタを中心に演奏活動を続けている。2020年ベートーヴェン生誕250年には、“ベートーヴェンと三人の先駆者”のタイトルで、バッハ・ハイドン・モーツァルトとベートーヴェンの作品による三回のトーク・リサイタルを開催し、鍵盤音楽史を辿りながら時代様式と作曲家の個性を対比させ、大きな成果を挙げた。
没後200年(2027年)に完結する今回のベートーヴェン全ソナタの連続演奏会は、変奏曲と連弾曲を含めた意欲的な取り組みで、ベートーヴェンの創作の本質に光を当てるものである。横浜国立大学名誉教授。杉山ムジーク・アカデミー主宰。
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